夜勤明け、家に帰ると、
子供たちがにぎやかに玄関まで迎えに来てくれた頃から、
もうずいぶんと時間が経った。
今でもふと、夜勤が終わって、
静かな家に帰ると、
あの頃のことをつい昨日のように思い出す。
家の中から聞こえてくる騒がしい声。
階段を駆け下りてくる音。
靴の散らばった玄関。
朝ご飯の片づけも終わっていない食卓。
床にはおもちゃと洗濯物が散らかっていて、
夜勤の疲れが
倍になったような気がしていたあの頃。
当時の私は、
「少しでもいいから休ませて~」と
心の中で何度も思った。
子供たちは可愛い。
でも夜勤明けの体には
そのにぎやかささえ重たく感じる日もあった。
けれど、こんなふうに家の中が静かになってみると、
大変だったはずの
あの時間が、
どうしようもなく愛おしく思える。
今、玄関では末っ子のシュシュが迎えてくれる
子どもたちが大きくなった今、
玄関まで迎えてくれるのは
4年前に我が家にやって来た末っ子、
シュナウザーのシュシュだけになった。
玄関に鍵をさすと、
静かだった扉の向こうから、
もう待ちきれないとばかりに
「カリカリっ」と音がする。
玄関を開けると、
しまっていたはずの扉をこじ開け出てきたシュシュが、
嬉しそうに
短い尻尾をちぎれんばかりに振っている。
その姿を見ると、
夜勤の疲れも少しだけ軽くなる。
子どもたちが小さかった頃のような、
にぎやかな「おかえり」ではないけれど、
今の私には、
この小さなお出迎えがとても嬉しい。
そして私は、ひとしきりシュシュとラブラブしたあと、
相変わらず片付いていない部屋を横目に、
シュシュと一緒に庭に出る。
メダカを眺めるだけの時間
庭に出ると、
私はしばらくメダカの睡蓮鉢をのぞく。
それが、この頃の私の日課になっている。
小さな赤ちゃんメダカが
静かに泳いでいる。
ただ、それだけ。
特別なことなんて、何もない。
でも、その小さなメダカたちが水の中で気持ちよさそうに
泳ぐ姿を見ていると、
不思議と、少しずつ心がほどけていくのを感じる。
昔の私だったら、
まず片付けをしなくちゃと思っていた。
洗濯物をどうにかしなきゃ!
食卓を片付けしなくちゃ!
子供たちに寂しい思いをさせないように!
そんな風に、いつも何かに追われていた。
でも今は少しだけ、
「まあいいか。」と思えるようになった。
靴が散らかっていても、
洗濯物がそのままでも、
まずはシュシュと外に出る。
そして庭に出て、
嬉しそうなシュシュと、
気持ちよさそうなメダカを眺める。
それだけで、慌ただしかった心が少し静かになるのだ。
カフェラテとチョコとドラマ
ひとしきり癒されたら、
私は家に入る。
ネスカフェのカフェラテを入れて、
冷蔵庫の中にこっそり隠してある、
チョコを一粒だけ取りだす。
そして、ソファーにどっかりと転がり込む。
隣にはシュシュ。
とりためてあるドラマを見るのだ。
本当は、やることはある(笑)
洗濯物だって、
ご飯の支度だって。
部屋も全然片付いてなんかいない。
でも、少しだけ、自分のこと甘やかしたっていいじゃない。
カフェラテを飲んで、
チョコを食べながら、
寝転んで、シュシュと一緒にドラマを見る。
ただ、それだけの時間。
何もしない日に救われた記事のことはこちらにも書いています
☞今日は「風呂キャン宣言」お母さんをお休みして竹内涼真とワンコに溺れる一日
でもその時間に、
「ああ、幸せだなあ」と思ってしまう。
若いころ、想像していた幸せとは少し違うかもしれない。
大きなご褒美でもない。
特別なお出かけでもない。
でも、夜勤明けの静かなこの家で、
シュシュと一緒に何もしない時間を過ごす。
今の私にはそのことが十分すぎるほど
贅沢な時間なのだ。
静かな家にも幸せはある
歳をとって、疲れやすくなった。
夜勤も正直きつい。
夜勤明けに帰った家は、
今でも相変わらず片付いていない。
玄関には靴が散らかっている。
昔は小さかった靴が、
今は大きくなって、野球の靴やサンダルになった。
食卓も、洗濯物もそのままになっている。
だけど、なぜだか今は、
そんなことは後でもいいと思えるようになった。
10年前の私に教えてあげたい。
今は大変だよね。
夜勤明けに休めなくて、
子供たちにイライラしてしまう日もあるよね。
片付かない部屋を見て、ため息が出た日もあるよね。
でも、そのにぎやかで、慌ただしい日々は
ずっとは続かない。
子どもたちが小さかった頃の
にぎやかさはもう戻ってこない。
それは少しだけ寂しい。
娘が少しずつ手を離れていく寂しさについてはこちらの記事にも書いています。
☞子離れできない母と、一歩ずつ進む娘の話
でも、ふりかえればきっと大切な宝物になる。
そして今は今の、
ちゃんと幸せな時間がある。
玄関で待ってくれるシュシュ。
庭で静かに泳ぐメダカ。
温かいカフェラテと、
冷蔵庫に隠したチョコ。
とりためたドラマ。
夜勤明けの静かな家で、
私は今日も、
静かな幸せを見つけている。