終わらない荷造り|片付ける母と引っ張り出す娘

子育て・反抗期

せっかく荷物を段ボールにつめたはず・・・

なのになぜかまたそこから洋服を

引っ張り出して着替えて出かけていく次女。

もーなんでよ~!全然片付かないじゃん。

そんなふうに口では言っているけれど、

実は、心のどこかでは、こっそり喜んでいる私がいた。

片付けては、また出して

受験が終わってすぐ、

娘は洋服の片づけを始めた。

「えらいな。ちゃんと前を向いているんだな。」

そう思って感心して、
だけど、少しだけ寂しい母。

…のはずだった。

せっかくの春休み。

友達と遊びに行く予定もたくさんある娘は、
一度段ボールにしまった洋服を、
また全部引っ張り出す。

私が文句を言う前に、
さっさと着替えて出かけていく。

おかげで、我が家は、
転がった段ボールと、
ぐちゃぐちゃの洋服でいっぱい。

目もあてられない状態だ。

でも、きっと私はその状況を
心のどこかでは、こっそり喜んでいたのだと思う。

「また出したの?」
「いつ片付くのよ?」

そんなことを言いながら、
娘とあーだこーだと言い合う時間を
どこかで楽しんでいた。

アルバムを開いたら終わりなのに

娘が出かけた後、
私は残された洋服をたたんでいた。

すると、ふと横にあった
アルバムが目に入った。

開いたら、終わる。
絶対に手が止まる。

わかっているのに開いちゃう私。

ページをめくるとそこには、

小さな体で大きなランドセルを背負い、
ヘルメットをかぶる次女の写真があった。

その写真を見た瞬間、
いろんなことを思い出した。

小学校1年生の1学期の終業式の日。

大量の荷物を持って、

ヘルメットで前が見えないような恰好で、
帰ってきた次女。

1年生の頃は学校に行けない日もあった。

泣き叫ぶ次女を先生に預けて、
仕事に行かなければならなかった日もあった。

本当に泣き虫だった次女。

小学校4年生の面談では、
「○○ちゃんの声を聞いたことがありません。」なんて
担任の先生に言われて、驚いたことも。

そんな娘が今では、私を顎で使い、

春には、一人暮らしを始めようとしている。

そう思ったら、なんだか笑えて、少しだけ泣けてきた。

そして、やっぱり、片付けの手は止まっちゃうよね。

こりゃ今日の片付けは、終わらないな。

そう思いながら、

私はまたアルバムをめくった。

この部屋が空っぽになる前に

でもまあ、いいか。

どうせ、もう少しで、この部屋は空っぽになるのだから。

そう思うとちょっぴり泣けてくるけど。

それまでは、転がった段ボールと、
ぐちゃぐちゃの洋服の中で、
もう少しだけ、あーだこーだ言っていたい。

早く片付けなきゃ。

間に合わないかもしれない。

そんな焦りもあるけれど、

この散らかった部屋には、

今しかない時間がたくさん詰まっている。

片付けが進まないことに少しだけイライラしている。

でも、心のどこかでは、その時間を惜しんでいる。

母の気持ちはいつも少し面倒くさい。

でもきっと、

娘が出ていった後に思い出すのは、

きれいに片付いた部屋ではなく、

この散らかった部屋の中で、

娘と言い合って、笑い合った時間だと思う。

引っ越しまであと少し。

段ボールだらけの部屋の中で、
もう少しだけ、

娘との時間を味わっていたい。

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