『ママ、ポトフ教えて』娘が旅立つ前にキッチンに立った日

暮らしと家族

ママ!ポトフの作り方教えて!

引っ越しの準備が少しずつ進み、
娘の中でいろんなことが落ち着いてきた頃、
ふとそんなことを言ってきた。

受験中、私はよくスープを作っていた。

夜勤明けでも作れるような、
野菜を切って、鍋に入れて、
コトコト煮込むだけの簡単なスープ。

受験中忙しい中で、作っていたスープのことはこちらに書いてあります。
アラフィフナース。夜勤明けの私ができること。受験生の娘のための「野菜たっぷりのスープのお守り」

その中でも、一番簡単だったのがポトフだった。

最初は自分が一人暮らしを始めた時に、
自分で食べるために覚えたいのかなと思った。

でも、娘は少し照れくさそうに
「家族みんなのために・・・。」

その言葉に、私は少し泣きそうになった。

娘と並んでキッチンに立つ

今までは、私を下僕のように顎で使い、

お茶さえも入れたことのなかった次女が、

私の隣でキッチンに立っている。

ピーラーで、一生懸命ニンジンの皮を剥く。

玉ねぎ切りながら、
涙を流している姿を見ていたら
小さいころのことを思い出した。
「玉ねぎを切ると、涙が出るから」

そう言って
目にラップを巻いて
玉ねぎを切っていた娘。

あの頃はおもしろくて、
ただただ、笑っていた。

そんな娘が、
今では家族のためにスープを作ろうとしている。
もうすぐこの家を去る寂しさと、
少しの安心感が混ざり合って、視界が少し滲みそうになる。

家族のことを思いながら作るポトフ

鍋の中には、
にんじん、玉ねぎ、キャベツ、ジャガイモ。
そして、大好きなウインナー。

切った野菜を鍋に入れながら、
娘は嬉しそうに話していた。

「明日の野球にもっていけるように!」

「明日のお父さん(我が家では祖父のことをお父さんと呼んでいる)の朝ごはんに」

「パパはよく煮えたキャベツが大好きだから。」

そんな風に自分のためだけじゃなく、
家族のみんなのことを想いながら
娘は鍋をのぞき込んでいた。

その横顔を見ていたら、
私はふと思った。
私の親バカぶりも、
無駄だったわけではなかったのかもしれない。

怒ってしまった日もある。

心配しすぎた日もある。

手を出しすぎた日も、
口を出しすぎた日もある。

それでも、家族のことを思いながら、
鍋を見つめる娘の姿に、
少しだけ救われた気がした。

本当に一人暮らしなんてできるのかな

とはいえ、
今日も娘は何もせず、テレビを見ている。

片付けも、
進んでいるような、進んでないような。

「本当に一人で暮らしていけるのかな?」

そんな不安で、
娘のことが心配で居ても立っても居られない気持ちになる。

朝起きられるのかな。
ご飯はちゃんと食べるかな。
洗濯とかできるかな。

何より、大学って自分で授業選んだり
大丈夫なのかな?

困ったときに誰かに頼れるかな。

考え出したら、
心配はきりがない。

でも、キッチンでポトフを作る娘の姿を見て、
少しだけ思う。

この子はこの子なりに
ちゃんと前に進もうとしているのかもしれない。

まだ頼りない。

まだ、危なっかしい。

でも確実に少しずつ、
娘は自分の足で歩き始めている。

「もっと一緒に作りたかったな」

本当は、
もっと一緒にスープを作りたかった。

もっと早く、
こういう時間を持てばよかった。

そんな後悔も、
少しだけ、胸に沁みる。

でお、こうして、娘が旅立つ前に、
一緒にキッチンに立てたこと。

家族のために作りたいと、
言ってくれたこと。

それだけで、十分なのかもしれない。

私はきっとこれからも心配する。

離れて暮らす娘に、
何度も口を出したくなると思う。

でも、この日のポトフのことを、
私はきっと何度も思い出す。

娘はもう守られるだけの子どもではない。

家族のことを思い、
誰かのために鍋をのぞく人になっていた。

だから今は、
信じて、そっと後ろから見守っていよう。

「もっと、一緒にスープつくりたかったな。。。」

そんな言葉を心にしまって。

ポトフの湯気の向こう側で
笑う娘の顔が少しだけ大人に見えた。

受験中に母が続けていた小さな習慣のことはこちらの記事にも書いています。
受験中、母がやっていたこと|夜勤しながら支えた日々

受験を支える母の孤独や、言えなかった本音についてはこちらに書いてあります。
受験を支える母の孤独~言えなかった本音の置き場所~

タイトルとURLをコピーしました